消防の教科書~火災防ぎょ活動の基本~
こんにちは、健二です。
みなさんは消防の仕事と聞いてまず第一にイメージするものは何ですか?
そうですね。まず第一に「消火活動」が思い浮かぶと思います。
実際に消防の仕事の中で最も危険で重要視される活動のうちのひとつでもあります。
消防は「火消し」とも呼ばれるぐらいですからね。(笑)
しかし、近年では若手職員だけでなくベテランの職員までが放水などの火災防ぎょ活動に関する知識・技術を軽視している傾向が見受けられます。
我々消防職員は火災現場に取り残された要救助者を助け出さなければなりません。
火災救助は、火災防ぎょ活動の延長線上にあります!
そのために火災防ぎょ・火災救助に不可欠な「放水活動」の重要性について学んでいくことが重要なのです。
消防活動の目標
トータル被害の軽減
消防活動での目標は現場到着時の状況で火災を制圧することです。
現場到着前に起きてしまった損害に関してはどうすることもできませんが、消防隊が現場到着した時点でそこから先の新たな損害は、消防の責任となります。
そのため消防の活動では、燃焼・水損(水による損害)・破壊(消火・救出に伴う破壊活動)等のトータル被害を最小限に抑えることがプロの火消しである消防職員の仕事であるといわれています。
被害を考えずに大胆な放水や破壊を行っても消火はできますが、状況を冷静に判断し最も被害の少ない方法で火災防ぎょ活動を遂行するのがプロなのです。
地上2階建ての一般住宅の建物火災を例にしますが、2階の一室の一部のみが燃焼している状態です。
ホースを1線延長し、屋内進入をして火点を正確に叩けば被害を最小限に留められます。
しかし、日本の消防の現状は「早く水を出せ!」「隣の家にまで燃え移ったらどうする!」というような住民感情に影響されて焦り、状況を判断せずに急いで放水をはじめるため有効な注水ができずに水損まで拡大させてしまうような場合が多いです。
有効な注水ができないため燃焼は拡大し、被害のない部屋まで水浸しなんてことも…
そのため、火勢や人命危険、野次馬等に幻惑されることなく、各々が置かれた立場を理解して、組織力を最大限に活用した効率的な活動を行うことが重要なのです。
例えば、先着隊(※)は「あれもこれもやらなければいけない…」と的を絞れない状況下に置かれますが、1個小隊の行動には限界があるため、消防活動は各々が優先順位を主体的に判断して組織全体の活動をイメージしなければなりません。
※災害現場にほかの隊より先に現着した隊。主に1隊目から3隊目までを先着隊という。
効率的な消防活動のために
事前命令と主体性のある思考力で有機的で効率的な消防活動を…
消防活動にはセオリー(理論・方法論)があります。
隊長の指示が無くても隊員ひとり一人が主体性をもって活動を行わなければなりません。
しかし、指示がない状態で知識や技術のない隊員が活動を行うと、活動全体の統制が取れずに効率的な消防活動ができません。
最悪の場合事故が起こります。
でも隊長は隊員ひとり一人に1から10まで指示を出すことは実質不可能です。
そのため、現場活動前や災害前の事前命令や、火災防ぎょ活動の基本(セオリー)を学ぶことが重要なのです。
まとめ
・消防活動では被害を最小限に(トータル被害の軽減)
・焦らず冷静に各々の役割を遂行する
・現場活動前の事前命令や基本(セオリー)を学ぶことで準備をし、共通認識を持つ
次回から具体的な活動の内容(基本)について触れていきたいと思います。