目次
- 1 火災現場で命を救うのは無謀な勇気ではなく安全管理
- 2 火災防ぎょ時の留意事項20項目【後編】
- 2.1 11 破壊活動は素手で行うと危険を伴うので、必ず防火用手袋(ケブラー、アラミド)等を着用し活動する。
- 2.2 12 屋内進入時には環境測定注水を行う。
- 2.3 13 ホースの破断に注意をする。
- 2.4 14 悌上放水はガンタイプノズルで行う。
- 2.5 15 耐火建物の破壊活動は全体に周知する。
- 2.6 16 耐火建物への梯子架梯(はしご車)は誤作動防止に徹する。
- 2.7 17 ラック式倉庫火災の防ぎょは消防設備を活用する。
- 2.8 18 濃煙時の屋内進入は排煙を有効に活用する。
- 2.9 19 高温室内への進入時は環境測定注水とスポット注水を活用する。
- 2.10 20 はしご車での救出は高い位置から行う。
- 3 まとめ
火災現場で命を救うのは無謀な勇気ではなく安全管理
こんにちは、火災出動で疲れ果てて更新をさぼっていた健二です。
前回は火災防ぎょ活動での留意点の20項目のうち10項目を紹介させていただきました。
実際にこちらに書いてあること、今回書く残りの10項目も基本中の基本でしっかりと行わないと受傷や殉職になりかねない内容が書いてあります。
訓練では1つ1つ確認、指差呼称をして安全管理に徹していると思いますが、
訓練での活動=現場の活動
にはどうしてもなりません。
現場ではどうしても訓練場にはない危険因子があります。
人命危険、延焼危険、活動危険。
など物理的な人体に対する危険や財産への危険、心理的なストレスや緊張、焦りなどどうしても訓練場にはないものが現場にはあります。
そんなときに隊長や隊員などの仲間同士で協力するのはもちろんですが、私が一番大切だと思っているのは自分自身をコントロールする力だと思います。
人間は「知らない」という状態を不安に思うので現場活動を知らない新人職員が不安に思い自分自身をコントロールしきれないのはしょうがないことです。
ですがベテラン職員でも現場で自分をコントロールできない方がいると思います。
訓練を重ねてきていない、勉強不足、想定(現場活動のイメージ)不足などが新人職員と同じ「知らない」という状態を作って不安になっているように私は見えます。
なのでなるべく知らないことをなくして現場で焦らず自分をコントロールできるように基本事項を抑えていきましょう!
火災防ぎょ時の留意事項20項目【後編】
11 破壊活動は素手で行うと危険を伴うので、必ず防火用手袋(ケブラー、アラミド)等を着用し活動する。
手を受傷してしまうと他の活動にも支障が出てしまいます。
破壊活動では受傷する確率が高いので強度のある穴の開いていない防火用手袋使用しましょう。
また、ロープワーク時なども火傷等の受傷をする可能性があるので消防活動をする際には必ず手袋を着用しましょう。
12 屋内進入時には環境測定注水を行う。
屋内進入時には環境測定注水を行い、フラッシュオーバー発生の危険性を評価します。
サーマルレイヤリング(熱成層)を乱さないように1秒以内の短い時間で行いましょう。
※環境測定注水とは…高温室内における簡易温度測定です。筒先員の直上で最大広角での噴霧注水を1秒以内で実施します。放水して水が落ちてこなければ、瞬時に気化しているということなのでフラッシュオーバーの危険性が迫っていると判断して良いでしょう。
13 ホースの破断に注意をする。
消防ホースは高い圧力で水を送るためホースの内側は強く作られていますが外側の擦れや切れには弱くなっています。
ホースが折れてV字になっている状態で引きずったり、放水時にガラス片等の落下により容易にホースが破断するのでホースラインの管理には注意が必要です。
14 悌上放水はガンタイプノズルで行う。
悌上放水は不安定かつホースの取り回しが難しくなるので、ノズルの選定はガンタイプノズルに限定しましょう。
転倒防止のため最低流量かつ広角での注水心がけましょう。
また、ガンタイプノズルの開閉ハンドルのとはしごの横桟を繋ぐ結着をしていれば万が一手を放してしまっても落下防止になりますし放水が止まるため危険性が軽減されるでしょう。
15 耐火建物の破壊活動は全体に周知する。
耐火建物に限らず破壊活動時は火災の急激な拡大、爆発現象による受傷危険があるため全隊に周知の上行いましょう。
16 耐火建物への梯子架梯(はしご車)は誤作動防止に徹する。
バスケットからの進入時は誤作動を防止するため緊急停止ボタンを押してから行いましょう。
17 ラック式倉庫火災の防ぎょは消防設備を活用する。
ラック式倉庫火災については、消防設備を活用し内部進入を極力避けましょう。
ラック式倉庫火災にでの殉職事例もありスプリンクラー設備の技術基準が特別に定められていますので確認しておくと良いでしょう。
18 濃煙時の屋内進入は排煙を有効に活用する。
濃煙により火点が不明確な場合は、PPV(加圧排煙戦術)を選択し、トータル被害の軽減に努めましょう。開口部の設定は吸気側開口部1に対して排気側を0.8から1.2の間で設定する。
燃焼中の室内へ噴霧注水すると、激しい高温の水蒸気が噴き出す恐れがあるので、スポット注水を行い、サーマルレイヤリング(熱成層)を乱さないように注意して屋内進入しましょう。
※スポット注水とは…フラッシュオーバーの発生を遅らせるために行う冷却注水。廻り縁付近に若干広角にしたストレート注水をします。
熱傷を負う危険性があるので短時間で行いましょう。
19 高温室内への進入時は環境測定注水とスポット注水を活用する。
12と18に共通します。高温室内へ進入する際はフラッシュオーバーの発生を遅らせるために環境測定修水とスポット注水を行いましょう。
20 はしご車での救出は高い位置から行う。
はしご車(バスケット)の着梯については救出階よりも高い位置から接近しましょう。
呼びかけ等をして要救助者の動揺防止を図りながら救助に着手します。
低い位置から接近すると要救助者が身を乗り出す恐れがあるので非常に危険です。
まとめ
以上が私が教わった20項目です。
現場活動での注意する点は計り知れないほどありますが、多くを知らねば受傷につながります。
消防職員である限り住民・仲間・自分の命が危険にさらされる場面に遭遇する確率は高いです。
いざという時のために消防人たるもの勉強をし続けましょう。