教養

火災とは2~火災の分類~

消防職員は覚えておこう!火災の分類について

こんにちは健二です。

最近は業務多忙と救助大会の練習で更新をさぼってしまっていました(;´Д`)

今日は久しぶりの更新となりますが前回に引き続き消防が取り扱う「火災」についての基礎知識について書いていきたいと思います。

前回は火災の定義と消防で扱う用語をいくつか紹介しました。

 

まだ読んでいない方は是非一度目を通してみてくださいね(^^)/

ちなみに「火災の定義」に関しては消防職員であれば知っていなければならない基礎知識なのでぜひ覚えてくださいね。

それでは今回は火災の分類について。

火災の分類は「火災の種別による分類」「焼損程度による分類」「出火原因別による分類」の3つに分けてお話していきたいと思います。

それではよろしくお願いします。

 

火災の分類

先ほども少し書きましたが消防が取り扱う火災では現場出動から火災調査にかけて様々な分類にわけて扱われます。

なにが燃えているか、どこで燃えているか等で出動する車両等を判別するための分類である「火災の種別」

建物の火災においてどれだけ燃えたのかを表す「焼損程度」

何が原因で火災が起きたのかを調べて再発防止のために扱う「出火原因」

と、さまざまな分類に分けて火災を扱っています。

現職の消防職員であれば知っていて当たり前ではありますが一般的に消防職員以外の方はなかなか触れない情報だと思いますのでここで紹介していきたいと思います。

1.火災の種別による分類

⑴建物火災

一般的に皆さんが想像するような代表的な火災がこれでしょう。

建物火災とは一般的に人が立ち入ることのできる建築物又はその収容物が焼損した火災をいいます。

⑵林野火災

森林、原野又は牧野が焼損した火災をいいます。

主に山間部で多い火災の種別です。都市部にあるような原っぱ等が燃えた場合はこの林野火災には該当しません。

⑶車両火災

自動車車両。鉄道車両及び被けん引車又はこれらの積載物が焼損した火災をいいます。

車類が燃えていたらこれですね。意外と自動車は燃料等も含めた可燃物が多いので結構燃えます。

トンネル内などだと困難な消火活動となるでしょう。

⑷船舶火災

船舶又はその積載物が焼損した火災をいいます。

海だけではなく池や湖等にある船舶も該当するのでどの自治体でも対応する可能性はあると思います。

⑸航空機火災

航空機又はその積載物焼損した火災をいいます。

私の自治体では航空機がないので飛行機やヘリが管轄に墜落しない限り対応することはないでしょう。(笑)

⑹その他

⑴~⑸以外の火災(空地、田畑、道路、河川敷、ごみ集積場、屋外物品集積場、軌道敷、電柱類等の火災)をいいます。

建物等にくっついている室外機などは建物火災ではなくその他の火災に該当します。

以上が「火災の種別による分類」となります。

火災の規模にもよりますがこの最初の種別で出動する車両を現在の日本の消防は選定しています。

指令センター何が燃えているかの聴取が重要ですね。

2.焼損程度による分類

次に「焼損程度による分類」です。

こちらは主に火災が鎮火した後に火災調査等に活用される分類となります。

1.全焼

全焼とは建物の焼燬(しょうき)損害額が火災前の建物の評価額の70%以上のもの又はこれ未満であっても残存部分に補修を加えて再使用できないものをいいます。

基本的に建物が火災によって焼損し、その建物を補修しても再使用ができないほど燃えてしまっているものは全焼とみなしてしまってよいでしょう。

2.半焼

半焼とは、建物の焼燬損害額が火災前の建物の評価額の20%以上のもので、全焼に該当しないものをいいます。

焼損面積等を計算しないと正しい評価は難しいですが例えば2階建ての木造住宅の2階部分だけが焼損している場合は半焼であることが多いでしょう。

3.部分焼

部分焼とは、建物の焼燬損害額が火災前の建物の評価額の20%未満のもので、ぼやに該当しないものをいいます。

4.ぼや

ぼやとは、次のいづれかに該当するものをいいます。

⑴建物の焼燬損害額が火災前の建物の評価額の10%未満であり、かつ、焼損床面積が1㎡未満のもの

⑵建物の焼燬損害額が火災前の建物の評価額の10%未満であり、かつ焼損表面積が1㎡未満のもの

⑶収容物のみ焼損したもの

をいいます。

ぼやは建物火災のなかで最小の分類となります。

つまり⑴~⑶に該当せず、ぼやでもないものは火災ではあらずということです。

3.出火原因別による分類

最後に出火原因別による分類です。

こちらは火災原因調査というもので調べられ統計等今後の火災予防に役立てられます。

⑴失火

過失により発生した火災をいいます。

⑵放火、放火の疑い

作為的に火を放ったか又はそれと疑わしい火災をいう。

⑶自然発火

酸化、薬品混合、摩擦などにより発熱発火したものをいう。

⑷再燃

火災が発生して消火行なされたにもかかわらずらず、事後に再度出火したものをいう。

⑸天災

地震、雷、噴火などによって発生した火災をいう。

⑹不明

⑴~⑸以外で発生したものをいう。

出火原因で挙げられるのは上記のものですがその割合はかなり偏っています。

毎年失火による火災は全体の約60%強、放火・放火疑いは全体の20%強となっています。

つまり8割強のほとんどの火災が人為的な要因で発生しているといえるのです。

まとめ

今回は火災の分類について書いていきましたが正直こちらは消防の専門知識といってもよいほどマニアックな内容でしょう。

火災調査を完全に分業している自治体でない限りこの知識はほとんどの職員に必要になりますので時間があるときに勉強して覚えておくと良いでしょう。