目次
消防署は災害に出るだけが仕事ではない!
こんにちは。健二です。
今日は週休で特に予定もないのでゆっくり家で待機しています。
(消防職員でも別に遊びに行っても大丈夫です。私はただ暇なだけです(笑))
はい。それでは今回はタイトルの通り消防署について話していきたいと思います。
みなさんは消防署に対してどんなイメージを持っていますか?
「火災出動して消火活動」
「大規模災害時の救助活動」
などが思い浮かぶでしょうか。
実際に消防の活動でメディアに取り上げられることが多いのが「消火活動」と「救助活動」ですが消防署にはもっといろいろな種類の仕事があります。
今回は消防署の歴史や組織、具体的な職種についてお話していきたいと思います。
目次
1.消防の歴史(発足)
まずは消防の歴史から話していきましょう。
日本で組織化された消防について最も古いものでは、平安時代に「禁裡(きんり)火消」があったと記録されていますが詳しい情報はあまり明らかになっていません。
実際に火消制度が歴史の舞台に登場してきたのは江戸時代からといわれています。
・江戸時代の消防
木造住宅が過密にあった江戸の町では「火事と喧嘩は江戸の華」といわれるほど火災が頻繁に発生していました。
当時はもちろん消防車などはなかったので「竜吐水(りゅうどすい)」と呼ばれる腕用の木製ポンプが開発されていましたが貧弱で使い物にならなかったようです(笑)
ですので消火活動は出火周辺の家屋を破壊して延焼を阻止する「破壊消防」といわれる戦術が行われていたそうです。
江戸時代の消防組織としては「大名火消」「定(じょう)火消」「町火消」という組織が整備され、江戸時代後期にはそれぞれが消火活動に当たっていたといわれています。
ちなみに「定火消」はいわば官設消防に相当し、「町火消」は消防団の前身であるといわれています。
・明治時代の消防
明治時代では明治3年に東京府で消防局を置き、町火消を改め消防組を組織しました。
翌明治4年に東京府消防局が廃止され、新たにその事務を司法省警保寮(現在の警視庁の前身)に移管し、その後消防組の所属は何回となく変わり、明治7年東京警視庁が新設され、東京府下の消防事務をすべて管轄することになって落ち着くことになりました。
東京警視庁では、消防組に関する「消防章程」を制定し、これが明治の消防制度の基礎となります。
その後、明治10年に東京警視庁は廃止され、内務省警視局ないに東京警視本署が置かれ、消防組に関する事務も、その消防掛に移されました。
明治13年に消防掛を廃止して内務省警視局に消防本部を置き、消防組に関する事務を含めて消防事務を一元化しました。
この際に先に訓練を重ねていた軍隊式の消防実働部隊として消防中隊を東京に2隊置き、現在の消防体制の基礎となる官設消防制度が完成しました。
・大正時代の消防
大正2年東京では警視庁の機構改革によって、従来の消防本部が消防部と呼ばれるようになり、大正3年には消防練習所が設置されました。
そして大正8年に「特殊消防署規定」が公布され、大阪市、京都市、神戸市、名古屋市、1年遅れて横浜市に消防署が設置されます。
ふぅ、、やっと消防署が出てきましたね(笑)
・昭和時代の消防
昭和時代では戦争に伴い防空業務に従事する団体として、防護団が各地で設置されました。
昭和15年以降には特殊消防署規定が改正され、軍事、経済上の主要都市に消防署が設置されていきました。
昭和15年 川崎市、小倉市、門司市、八幡市、若松市、戸畑市
昭和16年 堺市、布施氏、吹田市、尼崎市、西宮市
昭和17年 横須賀市、長崎市、佐世保市、広島市、呉市、下関市、福岡市
昭和18年 新潟市、大牟田市、函館市、室蘭市、舞鶴市
昭和19年 川口市、札幌市、小樽市、宇部市
昭和20年初めには官設消防署設置都市は13都道府県の36都市に及び、人員も総数3万人を超えていたといわれています。
しかし、終戦に伴い平時体制への切り替え、予算の削減のため人員の整理が行われ約3万人の消防官のうち1万人近く整理が行われました。
また、警防団の任務のうち「防空」が抹消され、水火災の警防を主たる任務とすることとなりました。
やっと今の消防っぽくなってきました。
その後、昭和22年12月23日法律226号をもって「消防組織法」が公布され、昭和23年3月7日に施行されました。
消防組織法に関しては過去記事で少し触れていますのでご参照ください。
2.消防の組織
つぎに消防の組織についてです。
消防の組織は国、都道府県、地方自治体に大まかに分かれていますが、その中でも代表的なものをいくつか紹介していきたいと思います。
・国の消防機関
まずは国の消防機関についてです。
日本の消防の中での最大における機関が「消防庁」となります。
「消防庁」は総務省の中の外局に位置付けられており日本最大の消防機関です。
(東京消防庁とは別になります)
消防庁の中には 消防・救急科 予防課 防災課 救急企画室 特殊災害室などさまざまな部門が設置されていますが、本庁以外にも付属機関として存在する 消防大学校 消防研究センター と呼ばれる機関もあります。
・都道府県の消防組織
都道府県には基本的に各都道府県庁内に消防主管課とされる「消防防災課」が設置されています。
また、全国47都道府県に消防の教育機関である「消防学校」が設置されています。
なお、指定都市である札幌市、千葉市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市及び福岡市の8市並びに東京消防庁にも設置されており、消防学校は全国に56校あります。
・航空消防隊
近年では災害態様の複雑多様化に伴い、市町村のみで災害を処理することが困難な場合があるとして、都道府県が市町村を補完するために防災用のヘリコプターを保有・運用しています。
防災消防隊は山岳での救助活動や大規模な工場火災などにて効率的な活動ができるとして各市町村の要請により出動することができます。
・市町村の消防組織
次に市町村の消防組織についてです。
市町村は消防事務を処理するための機関として、消防本部、消防署及び消防団のうち、全部又は一部を設けなければならないと消防組織法第9条に定められています。
・消防本部
消防本部は市町村の消防事務を統轄する機関です。主として人事や予算、消防の運営、企画、その他の事務を処理しています。
なお、ほとんどの消防本部は各消防署と併設されており、消防本部単体で設置されているれいはほとんどありません。
・消防署
火災の予防、警戒、鎮圧、その他の災害の防除・被害の軽減の活動を実際に主として行う機関です。基本的に消防本部に管理されている下部機関になります。
・消防団
消防職員でない住民たちも災害に出動します。このような組織を消防団といいます。
消防署に勤める職員が「プロ消防」だとしたら、消防団は「アマ消防」とでもいったところでしょうか。
3.消防署は実際にどのような仕事をするのか
前項で消防の組織と組織内の機関を簡単に紹介しましたが。本項ではそのうちの消防署の仕事(業務)について触れていきたいと思います。
消防署の中にはいくつかの役割が分担されています。
・消防(警防)隊
・救助隊
・救急隊
・指揮隊
・火災調査
・予防指導
・管理担当
※上記は一部になります(名称等も各消防本部で異なってきます)
それでは、上記の各役割について少し説明していきましょう。
・消防(警防)隊
主に消防隊と呼ばれる隊は紺色の活動服を着て仕事をしています。
火災現場などでは水利部署、ポンプ運用、ホース延長と消火に関する活動を主に行います。
また、災害がない時は住民へ訓練指導をしたり、防火対象物と呼ばれる建物に検査に行ったりと火災予防業務を行うことが多いです。
・救助隊
救助隊は救助服と呼ばれるオレンジの服を着ています。
災害活動では主に要救助者(救助を求めている人、救助が必要な人)の救出・救助を行います。
さまざまな困難な災害に直面し、最前線で活動する救助隊員には屈強な身体と精神力が必要でしょう。
なので日々厳しい訓練に打ち込んでいることが多いです。
救助隊にもいくつか種類があり 救助隊 特別救助隊 高度救助隊 特別高度救助隊 水難救助隊 と分かれています。
救助隊の種類についてはまた改めて記事を作成したいと思います。
・救急隊
救急隊はその名の通り救急車に乗って出動する隊です。
救急服と呼ばれるグレーの服を着ていますが、災害時には感染防護衣というガウン等を着ていることが多いのでそのイメージの方が強いかもしれませんね(笑)
救急隊の中でも国家資格の 救急救命士 という資格を取得している隊員は医師から指示を受けて特定の医療行為を行うことができます。
・指揮隊
指揮隊は大きなくくりでは消防隊にあたりますが、その中でも現場活動での役割を指揮監督に特化させた隊です。
災害現場では、被害状況、要救助者の情報の調査・把握、活動方針の決定・指示、隊員の活動時間・健康状態の管理等で、災害現場活動では主にソフト面を担当しています。
・火災調査
名前を見て思うかもしれませんが「隊」という文字を入れていません。
出動隊を兼ねて火災調査をする消防本部もありますが、火災調査を専門で行う人員を配置している消防本部もあるためです。
火災発生後に焼損面積、被害総額、火災の原因などを調査して統計や今後の予防活動に生かすための調査活動を主としています。
・予防指導
こちらも「隊」という文字が入っていませんね。
消防隊などの出動隊も予防指導は行いますが、予防指導を専門して行う人員も消防署には配置されています。
主に火災危険のある危険物施設や防火対象物の検査、火災予防に関する行政指導を行います。
・管理担当
こち消防本部と消防署を繋ぐ事務を主とする仕事です。
庶務的なことなど仕事の幅等は多岐にわたりますが、消防署や消防本部の事務処理を効率良く行うためには必須のポジションです。
この他にも細かく分けると多くの業務がありますが消防署の大まかな業務はこのようになります。
消防本部の業務についてもまた改めて記事を作成していきたいと思います。
まとめ
今回は消防署について書いていきましたが消防はもっと幅広く深い職種のため今回書かれているのはほんの一部になります。
消防の制度に関してはまた細分化して深く書いていきたいと思います。